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レント

灰の水曜日からイースターまでの日曜日を除く40日間をレント(「長い」という意味から来た言葉)と言います。日本語では「受難節」、「四旬節」、「太斎節」と複数の呼び名があります。

レントはイースター(キリストの復活)を前にして、キリストの受難と十字架を覚える悔い改めの季節です。この季節では、悔い改めをはじめ、節制、断食をする習慣が伝統的に行われてきました。また、この季節に結婚式をしなかったり、礼拝の中で「ハレルヤ」と詠唱しなかったりなど、一部の伝統ではそのような習慣も守られてきました。

初代教会の時代では、この季節は洗礼志願者の洗礼準備の期間とされ、志願者は教義の学びや、信仰生活についての指導を受けました。当時、洗礼式は年に一回の、レントの季節を経たイースターの日にだけ行われていました。パウロがローマの信徒への手紙で「わたしたちは洗礼によって、キリストと共に葬られ、その死にあずかるものとなりました。それは、キリストが御父の栄光によって死者の中から復活させられたように、わたしたちも新しい命に生きるためなのです。」(ローマ6:4)と言っているように、洗礼はキリストの十字架と復活に深く結びつき、レントとイースターは密接に関わっているのです。つまり、レントがないイースターは考えられないということです。

レントの名称の一つである四旬節の「四旬」とは40のことです。聖書において40という数字は各所に出てきます。代表的な出来事として、ノアの洪水における40日40夜、雨が降り続いたこと(創世記6~9章)、出エジプトの後、イスラエルの民が40年間荒野を旅したこと(出エジプト15章~、民数記14:32)、イエスが荒野で40日間悪魔から誘惑を受けられたこと(マタイ4:1~11、マルコ1:12~13、ルカ4:1~13)などがありますが、これらの出来事からこの40という数字は苦難や試練を象徴していることがわかります。

ヘブライ人への手紙には「それで、イエスは、神の御前において憐れみ深い、忠実な大祭司となって、民の罪を償うために、すべての点で兄弟たちと同じようにならねばならなかったのです。事実、御自身、試練を受けて苦しまれたからこそ、試練を受けている人たちを助けることがおできになるのです。」(2:17~18)、「さて、わたしたちには、もろもろの天を通過された偉大な大祭司、神の子イエスが与えられているのですから、わたしたちの公に言い表している信仰をしっかり保とうではありませんか。この大祭司は、わたしたちの弱さに同情できない方ではなく、罪を犯されなかったが、あらゆる点において、わたしたちと同様に試練に遭われたのです。だから、憐れみを受け、恵みにあずかって、時宜にかなった助けをいただくために、大胆に恵みの座に近づこうではありませんか。」(4:14~16)と、自ら試練に遭い、人間の弱さを体現したイエスキリストについて証ししています。この御言葉が証ししているように、レントはただ、伝統的に守られてきた習慣を大切にする季節ではなく、神の子でありながら、人間と同じ姿になって、人間の苦しみ、悲しみ、痛みを負い、苦難と試練の中を生き抜いたイエスキリストの愛に心を向ける時なのです。