カテゴリー Archives: 説教

2014年6月29日 聖霊降臨後第3主日 「愛の招き」

マタイによる福音書9章9〜13節
藤木 智広 牧師

私たちの父なる神と主イエス・キリストから恵みと平安とが、あなたがたにあるように。アーメン。

「わたしが来たのは、正しい人を招くためではなく、罪人を招くためである。」(9:13)
この主イエスの御言葉を聞くたびに、私はルターが語る「義人にして同時に罪人」という言葉を思い起こします。これは、半分は義人(正しい人)で半分は罪人であるという意味ではありません。完全に義人であり、同時に完全に罪人であるという意味です。一見矛盾しているように思えますが、それがキリストに招かれた者、救いに招かれた者であるということなのです。Read more

2014年6月22日 聖霊降臨後第2主日 「根底からの平安」

マタイによる福音書7章15〜29節
藤木 智広 牧師

私たちの父なる神と主イエス・キリストから恵みと平安とが、あなたがたにあるように。アーメン。

マタイによる福音書5章から7章に記されている山上の説教の最後の箇所が、今日の福音として私たちに与えられました。聞いていた群衆はこの主イエスの言葉に非常に驚き、(7:28)「律法学者のようにではなく、権威ある者としてお教えになった」(7:29)主イエスのお姿が、彼らの目に映っていました。Read more

2014年6月15日 三位一体主日 「疑いに先立って」

マタイによる福音書28章16〜20節
藤木 智広 牧師

私たちの父なる神と主イエス・キリストから恵みと平安とが、あなたがたにあるように。アーメン。

遠藤周作の小説「沈黙」の中に、キチジローという青年が登場します。彼は、ポルトガルから命懸けで日本に潜入したロドリゴ神父と船の中で出会い、ロドリゴたちを五島列島に住む隠れキリシタンの村に案内します。キチジローはこの村のクリスチャンですが、事あるごとにクリスチャンであることを隠し、簡単に葉教することを誓ったり、その度に赦しを乞うたりしてロドリゴたちを困らせます。挙句の果てには、ロドリゴを裏切って、役人に彼の所在をばらしてしまいます。その後もキチジローは捕まったロドリゴを訪ねては役人に追い返され、そんな彼のことをロドリゴは軽蔑します。結局このロドリゴも踏み絵を踏んで、棄教することを受け入れるのですが、彼の下にまたしてもキチジローが赦しを求めて訪ねます。この時、キチジローの顔を通してイエスキリストがロドリゴに語るのです。「私は沈黙していたのではない。お前たちと共に苦しんでいたのだ」「弱いものが強いものよりも苦しまなかったと、誰が言えるのか?」最後にロドリゴはキチジローを赦すのです。Read more

2014年6月8日 聖霊降臨祭 「新しく生まれる」

ヨハネによる福音書7章37〜39節
藤木 智広 牧師(説教の内容は第2日課の使徒言行録2章1~21節が中心です)

私たちの父なる神と主イエス・キリストから恵みと平安とが、あなたがたにあるように。アーメン。

本日は教会の誕生日と言われている聖霊降臨日、ペンテコステです。使徒言行録の2章に、真に不思議な形で、聖霊降臨の出来事が記されています。この出来事を通して始まっていく、「教会の歩み、歴史」が書かれているのがこの使徒言行録という書物ですが、この使徒言行録の冒頭、1章1~2節には「テオフィロさま、わたしは先に第一巻を著して、イエスが行い、また教え始めてから、お選びになった使徒たちに聖霊を通して指図を与え、天に上げられた日までのすべてのことについて書き記しました。」と書いてあるように、これは聖霊を通して指図を与えられた使徒たちの歩み、歴史であります。ですから、この使徒言行録、昔は使徒行伝と言われていましたが、この書物に記されている使徒達の働きはすべて聖霊の業、その指図によって成されているということから「聖霊行伝」とも言われています。著者は全体として、これが聖霊の導き、聖霊において起こった出来事であると、証ししているのです。Read more