福音記者ルカの日

 福音記者ルカは新約聖書ルカによる福音書と使徒言行録の著者とされています(ルカ1:1~4、使徒1:1~2)。どちらの文書も文体の整った質の高いギリシア語で書かれ、ギリシア・ローマ世界の歴史記述を明記し、その只中で神の救いの計画(約束)がイエスキリスト、聖霊の働きを通して起こされていることを力強く詳細に記しています。そのため、著者のルカは比較的社会的地位があり、ギリシア文学に教養のある異邦人であったと言われています。

 伝承によると、彼はシリアのアンティオキアで生まれ、ギリシアで活動し、そこでルカによる福音書と使徒言行録を編纂し、84歳で亡くなったと言われています。また、福音書には一度も彼の名前が出てきませんが、パウロ書簡には3度だけ言及されています(コロサイ4:14、Ⅱテモテ4:11、フィレモン24)。彼は使徒パウロの同労者として、パウロの近くにて彼を助け、伝道に従事し、パウロが特に信頼を置いているほどに、親しい関係にあったと言われています。また、コロサイの信徒への手紙4章14節に「愛する医者ルカ」と言及されていることから、彼は医者であったと言われています。しかし、このルカが福音記者ルカと同一人物であるかどうかということは諸説有り、信憑性に乏しいと言われています。

 祝祭日は10月18日です。ルカは9世紀頃から外科医、内科医の守護聖人として崇敬されています。また、彼は聖母マリアの肖像を描いたとも伝えられ、8世紀ごろからは画家とも見なされています。15世紀の画家ロヒール・ファン・デル・ウェイデンは聖母マリアの肖像を描くルカを題材にした作品『聖母を描く聖ルカ』を描いています。